7/13-17 荒天のトムラウシ

「・・・これ、しばらく立ち止まったら、余裕で低体温症になれるかも・・・」
北沼
3_水没
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あと600Mの山頂を巻いて下山したトムラウシ。
悪天候の中、北海道をナメてた自分、準備が甘かった自分の反省&備忘(残念ながら美貌ではない)を兼ねてシェアします。
メンバー: imarin他2名
7/13 曇り時々小雨: 黒岳リフト~黒岳避難小屋 幕
7/14 曇りのち晴れ: 黒岳避難小屋~忠別避難小屋 泊
7/15 雨風ともに強: 忠別避難小屋~ヒサゴ沼避難小屋 泊
7/16 雨風ともに強: ヒサゴ沼避難小屋~トムラウシ温泉 泊
今回の北海道遠征は某沢遡行の予定でしたが、7月初旬の大雨で被害のあった地域だったため、急遽黒岳~トムラウシの縦走に切り替えました。バリエーションから登山道への変更、タープ&シェルターからテント携行、でなんとな気が緩み、時間もなかったのであまり下調べをしないまま出かけてしまいました。
7/13は黒岳でテン泊。翌7/14は当初、白雲岳避難小屋泊で周辺の花畑をめぐる計画でしたが、15日・16日が雨の予報ということで忠別避難小屋まで。ここから先へ進むと、エスケープルートはありません。
黒岳より。
黒岳
忠別岳を超えたところで、トムラウシが。
トム
7/15、忠別避難小屋を出発、予報通りの小雨の中歩を歩き始めます。次第に雨風ともに強くなり、レインウェアの防水をしっかりしていなかったせいで、びっしょり。幸い気温が高いので体温は奪われません。ガスで見通しがきかず、マーキングも雨で流れてしまい、広い雪田や雪渓を歩くと道を見失います。こんなにルートファインディングが難しいとは思っておらず、地形図を携行していませんでした。次のキャンプ地はヒサゴ沼か南沼。南沼まで行けば最終日が楽だけど、避難小屋はなくテンバの様子もわからない。忠別で他の登山者に聞いたところ、川の間にテントを張るような場所とのこと。川が増水したら?吹きさらしだったら?不確定要素の強い南沼を避け、ヒサゴ沼避難小屋で停滞決定
遭難事故当時は雨漏りで濡れてしまい、体力が奪われたというヒサゴ沼の避難小屋。現在は快適。
ヒサゴ沼
7/16、まさに9年前、遭難事故のあった当日。トムラウシ温泉までの行程が長く、故障者もいるので、4時出発として就寝。夜中ますます風雨が強まり、場合によってはもう1日の停滞を覚悟。3時に起床するも出発を後らせ、ラジオの天気予報を確認してから出発。小屋からはショートカットルート、チェーンアイゼン装着で急な雪渓を登るもルートファインディングが難しく、GPSの助けを借りつつ登山道へ。叩きつける雨と、風に煽られながら歩を進めます。北沼は増水して登山道も水浸し、濡れた身体に強風が吹き付け、止まったら低体温症になる可能性も?お互いの実力をよくわかっている仲間同士とはいえ、万一ここで誰かが動けなくなったら、いったい何ができるだろう?こんなところでテントを張れるのか?乾いた服に着替えられるのか?おのおの同じようなことを考えながらトムラウシ山頂への分岐へ到着。頂上まで600m、百名山ハンターではない我々は全員一致で頂上を踏まない巻道を選択。回り込んだ南沼付近は風も弱め、トムラウシ温泉からの登山者も多く、ほっと一息。その後はコマドリ沢付近の雪渓が登山道を見つけにくかったほかは、時間はかかるもののドロドロになりながら下山しました。
今回1名が膝を故障気味でスピードが出せず、エスケープルートがないうえに営業小屋がなく、様々な場面で判断が必要でした。
そんな中、誰かが仕切るわけではないけれど安全に対する考え方が近いメンバーだったので、おのおのが意見を出しつつも意思統一が容易で、行動にも無駄がなかったように思います。持ち物としては、スリング&ビナは持参していましたが、今回割愛してしまった補助ロープ、万一渡渉で増水していたら??と考えると、やはりあると気持ちが楽かも・・・
9年前の事故当日は気温も低く、北沼あたりでは膝まで水につかったとか。条件がひとつでも変われば、自分たちも遭難するかもしれない、なんとなくテキトーになりがちなギアのメンテの必要性も再認識し、忘れがちなことを思い出させてくれたヤマでした。


って、こんなことやってる余裕があったり??
ぽんぽこ
定点観測:
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14 thoughts on “7/13-17 荒天のトムラウシ

  1. ao says:

    寒さに強いはずのimarinがこんな感じなら、自分はとうに行き倒れていた事でし事でしょう!!大遭難が起こったのも、うなずけるレポートです。。

  2. imarin says:

    ということを痛感しました。
    ある程度長い山行の場合、当初予報とは天気が変わることもしばしば。ヤマに入ってしまえばネットもつながらないし、今回のように営業小屋のないルートでは特に、パーティで1つ携帯ラジオの携行が安心。GPSは使いすぎると登山がつまらなくなるけど、場合によっては頼るべきですね。
    あと、準備の際の想像力も必要と、今回思いました。日々是反省・・・

  3. maru says:

    何んとかでもルートを誤らずの慎重さが良かったと思う。北海道での標高2千mは、本州北アの3千m高を縦走に相当、そこで風雨に叩かれると思うば、この日、気温高めだったとはいえ。この時期このコース、おそらく日本を代表する好縦走路でしょう、オイラもいつか行きたい。とにかく、無事の帰還、良かった。定点観測はしっかりしてたようだが。

  4. kitchan says:

    imarinさんお疲れさまでした。でもとても参考になるレポートです。
    自分も羅臼岳~硫黄山の二日目でで雨風にやられましたが、短い縦走なので何とかなりました。
    来年、是非maruさんとともにリベンジしましょう!!

  5. yasuyo says:

    ひやぁ~ 次々にいろんな事象が起きてしまうと・・・・
    下線を引いてくださったところ、よーーーく読みました!!
    準備ってやはり大事、必要、していれば慌てず・・・ですね。
    防水など持ち物のメンテナンスもしなくっちゃ!
    いまりんさん、レポートありがとうございます~~

  6. さち says:

    けど、良い判断だったかもしれませんね。
    思い出は、21年前カイチョーとトムラウシのキャンプ場から1日中雨に降られて、次のキャンプ場では、熊に破られた穴から、雨がどひゃっと入り、テント内が池になったことです。

  7. gaku says:

    文章を読ませていただき、当日の山の怖さが伝わってきました。やはり晴天と悪天候では、同じ山でも全く変わってしまいますね。
    自分の山行の教訓にさせてもらいます。

  8. imarin says:

    動いていれば寒くないし、そんなにシビアだったわけじゃないんだけど、なにかあった場合のことは想定しないとな~と。体力も落ちてきてるので、重さとの兼ね合いもあるし、常に考えて選択せねばなりません(-_-;)

  9. full says:

    真面目なコメントしとるな。
    自分は、減っていくプラティパスの中身が、麦茶なのか酒なのか気になってしょうがないんだけど…(笑)

  10. imarin says:

    麦茶?2L、赤い水750ml、透明な水(フツーやん?)750mlを買い込み、バスターミナルでプラティバスに入れ替えるという荒業をやってのけた、典型的なダメな人たちです<m(__)m>
    てかisさん、BMもらっとるんか?

  11. kawa says:

    25年位前,天人峡からクワウンナイ川を溯行してトムラウシ山からトムラウシ温泉に降りた事を思い出しました。順調に行ったので、こんなにも苦労した方がいるとは、びっくりしました。山は90%天気が山行の運命を決定しますね。

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